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日本の電力会社は島嶼諸国を救えるか


国際環境経済研究所所長、常葉大学名誉教授

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(「EPレポート」より転載:2023年11月21日号)

 知人が都内の一等地に相続した一戸建を構えている。知人のご先祖は佐渡島の代官だったとの話を人づてに聞いた。その佐渡島にこの秋お邪魔する機会があった。海底送電線はなく、島内の石油火力発電所が電力需要を賄っているが、当然ながらコストは高い。佐渡島では、東北電力ネットワークが1500キロワット(kW)の太陽光発電所を建設中だったので現場を見せてもらった。

 太陽光発電所のコストは燃料費を上回るので消費者の負担も増えるが、離島の場合にはそうはならない。大規模な発電所、荷揚げ装置を設置できないため、コスト競争力のある石炭とLNGを使用できないからだ。重油を利用し発電を行うしかない。今の重油の価格からすると燃料費だけで1kW時当たり25円程度になるので、太陽光発電のコストが下回ることになる。

 太陽光の発電量は変動するので、それに合わせ火力発電の出力を調整するシステム(EMS)が必要になる。お邪魔した時点では、まだEMSの詳細が決まっていなかったが、EMSとその運用が太陽光設備導入の大きなカギだろう。

 温暖化がもたらす海面上昇により大きな影響を受ける島嶼諸国は、気候変動枠組み条約の会合(COP)の場では常に温暖化対策の推進を訴えているが、皮肉にも多くの島嶼諸国は二酸化炭素を排出するディーゼル発電機を利用せざるを得ない。既に、日本政府は日本の発電に関する知見を利用し太平洋の島嶼諸国を支援する取り組みを実施しているが、再生可能エネルギーを組み合わせた発電システムを必要とする国は多くある。インド洋、大西洋の島嶼諸国、アジアでもインドネシアのように多くの離島を持つ国もある。

 日本の離島での導入の経験を持つ電力会社は、その知見を活かし島嶼諸国などを支援できる。コスト削減圧力を受ける電力会社だが、知見と海外の途上国を支援する体制を維持することも重要だ。消費者は、値下げ、値下げと要求するだけでなく、企業が事業を通し社会に貢献することを支援する姿勢を示す必要もある。